はじめに

 サッカーが好きな人にもラグビーに触れてもらいたい。だって元をたどれば同じ競技だったんだから、楽しめるはずなんだ。そういう思いで度々このブログでもラグビー関係の話をしてきました。
 特に主な読者層であろう【いわてグルージャ盛岡】を好きな人たちに、【釜石シーウェイブス】も応援してもらいたい。ここは不変です。

 様々な場所で話を(盗み)聞くと「2019年の日本でやったワールドカップは少し見たけど」という人がやはり多い。それだけ【ワールドカップ】というコンテンツはデカい。サッカーと変わりなく、ラグビーでも共通なのでしょう。

 僕だって、2015年のラグビーワールドカップ(以下、RWC)から本腰を入れて見はじめ、南半球のクラブチームのリーグであるスーパーラグビーに参戦した日本のチーム【サンウルブズ】を追ったことから理解を深めていった過去があります。

 今年、2023年もRWCイヤーです。これは一つのチャンス。

 2019RWCで盛んに言われた「にわか」。誰もがそこからスタートするのは間違いないです。

 何も知らないあなたが「にわか」になるために。
「にわか」なあなたが、その先へ一歩進めるように。

 この記事が生きてくれたら嬉しいです。

 なお、タイトルにVol.1と付けましたがいつまで続くか不明です。やる気が続くかどうか。笑


RWCとは

 
ラグビーワールドカップ(英語: Rugby World Cup)は、ラグビーユニオンのナショナルチームの世界選手権大会である。第1回大会は1987年に開催され、現在ワールドラグビーが主催し、4年ごとに開催。優勝トロフィーは「ウェブ・エリス・カップ」。大会テーマソングは「ワールド・イン・ユニオン」。

by Wikipedia:ラグビーワールドカップ

 意外と歴史が新しいRWC。もともと「伝統国」と呼ばれていた8ヵ国の身内で競い合っていただけ(誇大表現と皮肉を含む)の競技だったため、国際化の流れに取り残される寸前だった(今Wikipedia等を読んでの僕の理解)。
 出場国や強豪国を見ると「歴史的にイギリスの影響下にあった国」の強さ・影響力が目立ち、まだまだ成長の余地が大きい大会とも言えるでしょう。(その点、なんで日本でこれだけラグビー普及していったのかはよくわからんのなぁ)


 日本は第1回大会から連続で出場を続けています。(まあアジアの中では頭3つくらい飛びぬけてるので予選はそれほど苦労しないのが常なのですが)
 が、出場することと勝つことは別。苦難の歴史があります。



第1回大会~第7回大会まで

 では、各大会の日本代表(以下、ジャパン)の成績を見てみましょう。

第1回大会:0勝0分3敗
第2回大会:1勝0分2敗
第3回大会:0勝0分3敗
第4回大会:0勝0分3敗
第5回大会:0勝0分4敗
第6回大会:0勝1分3敗
第7回大会:0勝1分3敗

 はい。7大会24試合を戦って、1勝2分21敗です。
 第2回大会の1勝はジンバブエから、第6回および第7回大会の2分はカナダから得た結果です。(ジンバブエ戦での勝利からカナダ戦の引き分けまで13連敗)
 第6回大会のカナダ戦は終了間際のトライ&コンバージョンで追いつく展開。まるで勝ったかのような実況が、それまでのジャパンの苦戦を物語っているようでした。

 ちなみに第3回大会ではニュージーランドと対戦して17-145で、第6回大会ではオーストラリアに3-91で、第7回大会ではニュージーランドに7-83で負けています。

 近2大会だけでジャパンを知っているととても信じられないですけど、そういう時代もあったのです。



第8回大会

 世界のラグビー人がジャパンを見る目を変えた。それが2015年の第8回大会、そのプール戦(サッカーW杯でいうグループステージ)の初戦だった南アフリカ戦です。
 先に書いた通り、24戦1勝だったジャパン。世界ランキングは当時13位。
 対する南アフリカはワールドカップでの勝率1位、優勝2回(うち1回はネルソン・マンデラ大統領のストーリーで映画化された『インビクタス』の舞台でもある1995年の第3回大会)。当時の世界ランキングは3位。

 ラグビーでは結果が序列通りになることが多く、ジャイアントキリングはなかなか起こりません。(もちろん、実力が拮抗していればどちらに転ぶかはわかりませんが)
 当然のことながら、多くの人は南アフリカの勝利を予想していました。正直に言えば、僕もです。
ウィリアムヒルによる試合前のオッズは南アフリカ共和国の1倍(元返し)に対し、日本は34倍であった。

by Wikipedia:ラグビーワールドカップ2015日本対南アフリカ

 しかし、ジャパンの勝利を疑わない男たちがいた。ジェイミー・ジョセフHC、そして選手たち。

 トライ数では南アフリカが上回ったものの、ジャパンはFB五郎丸のペナルティキックで着実に加点。
 3点差で負けている中、終了間際で得たペナルティではショットを選択せずに、スクラム。トライを取る姿勢を続け、繋ぎに繋いで左サイドへのトライ。

 NHK・豊原アナの実況「行けー! 行けー! トラーイ! ニッポン、ニッポン! 逆転!」。
 J SPORTS・矢野アナの実況「アマナキ、レレイ、マフィ、そしてヘスケスー!やったー!やったー!やったー!」

 両者とも、少なくともスポーツ実況がする台詞ではない。笑

 会場はブライトン・コミュニティスタジアム。いまサッカーで三苫薫が躍動するスタジアムで、ラグビー史上最大のアップセットは達成されたのです。

 試合の流れはアニヲタWikiが「アニヲタ」の名に恥じない誇張で楽しく書いてくれてるのでお時間があれば。


 この試合で世界を驚かせたジャパンは、この後も世界を驚かせます。

 中3日という、ラグビー界ではなかなかありえないインターバルでスコットランドと対戦した第2戦は敗れました。(このときゲームを操っていたのが、2023年3月に浦安D-Rocksのメンバーとして釜石でプレーしたグレイグ・レイドロー選手)
 が、この後のサモア戦、アメリカ戦に連勝。
 過去7大会で1勝だったジャパンはこの大会だけで3勝することができたのです。

 5チームで対戦するプール戦は上位2チームが決勝トーナメント進出。
 通常(ジャイアントキリングの起きない)プール戦であれば、3勝1敗は2位を確保できる成績でした。
 しかし。南アフリカが日本に敗れ、日本はスコットランドに敗れ、スコットランドは南アフリカに敗れた、三すくみの結果になり、3チームが3勝1敗でプール戦を終えました。
 最終順位は勝ち点で決まりますが、ボーナスポイントを獲得することができなかったジャパンは3位となりプール戦敗退。
 3勝しながらもプール戦で敗退するのは史上初のこととなりました。


 この大会後「五郎丸ポーズ」のフィーバーなど、これまで以上にラグビーが知られたような気がしました。それはきっと、4年後の第9回大会の成功へと続いていったのだと思います。





第9回大会

 前回大会となる2019年の第9回大会は言わずもがな、日本で開催された大会です。
 これまで「ティア1」と呼ばれる伝統国だけで開催されていた大会が、はじめて「ティア2」の国での開催となりました。(この頃から「日本をティア1に入れていいのではないか」という議論が始まり、先日の「ハイパフォーマンスユニオン」入りという結果になりました。が、この辺は別の機会に)

 開催国、ということで日程面での不利はなし。サッカーであれば対戦相手もポッド2以下となるので安心なのですが、そうもいかないのがラグビー。
 大会開始前の世界ランキングで1位のアイルランド、そして同7位で前回大会も同組だったスコットランドが同組となりました。(他はロシア、サモア)

 アイルランドかスコットランドには勝たないと決勝トーナメントがないではないか。勝ったとして、ボーナスポイントを取っておかないと前回大会と同じになりやしないか。
 大会前はそういった星勘定がされていました。

 が、終わってみればプール戦は4戦全勝。
 特にアイルランド戦は、7点リードして終了のホーンが鳴ったもののアイルランドの攻撃。どういう攻撃パターンで来るのかと身構えていたのに、アイルランドからボールを蹴りだして試合を終わらせた(7点差負けのボーナスポイントを取ることで良しとした?)展開にとても驚かされました。


 念願の決勝トーナメント。対戦相手は「あの」南アフリカでした。
 前回大会はプール初戦で調子の上がりきっていない相手に対して、ここをターゲットにしてきたジャパンが奇襲的にガチバトルを仕掛けて「もぎ取った」といっていい勝利。プール戦を勝ち上がっての対戦は本気でぶつかれる最高の舞台。
 結果としてはこの後に優勝する南アフリカに3-26だったわけですが、スクラムで勝って吠えるPR具だったり印象的なシーンは多かったですね。

 金髪なびかせ(いい意味で)ムカつく笑顔振りまく相手9番ファフ・デクラークが憎たらしくてしょうがなかったですけど、まさかその選手が22-23シーズンから横浜キヤノンイーグルスでプレーするとは。しかも来シーズンも日本でプレーすることを明言していると。
 リーグワンが開幕してから各国代表級選手が日本でのプレーを選ぶことがありますが、多くの選手が2019RWCでの体験を挙げています。大会の成功が、国内リーグの活性化にも寄与しているのはとても喜ばしいことですね。





第10回大会

 いよいよ今年、2023年は第10回大会です。
 開催地は来年の夏季五輪も控えたフランス。

 日本のプール戦は以下の4戦です。

9/10(日) 20:00 対 チリ
9/18(月) 04:00 対 イングランド
9/29(金) 04:00 対 サモア
10/8(日) 20:00 対 アルゼンチン
※ 日本時間にて表記

 なんと! 日曜20時キックオフが2試合! 見やすい!

 特にアルゼンチン戦は決勝トーナメントを賭けた戦いとなること間違いなしと今から言っておきましょう。(順当にメンバー選出されれば、三重ホンダヒートのメンバーとして2022年12月に釜石でプレーしたパブロ・マテーラ選手が8番にいるはず)

 イングランド、アルゼンチンはティア1の国。この先ジャパンがハイパフォーマンスユニオンとしてラグビー界で力を見せていくためにも、しっかりと戦いたい相手です。

 チリ(初出場)はおそらくプール内のドアマットチームになってしまうとは思いますが、サモアは簡単そうで簡単ではない相手。この記事を書いている段階で世界ランキング10位のジャパンに対してサモアは12位。ともにティア2国としてしのぎを削ってきた仲。違いを見せてボーナスポイントまで取りたい相手です。


 ジャパンのメンバーはこれから合宿を経てセレクションされていきます。(ほぼ決まり、という形でスコッドが発表されてはいますが)
 どんなメンバーが、どんな戦いを見せてくれるのか。今からワクワクが止まりません。



おわりに

 今回はこれまでの大会成績について振り返ってみました。
 ここ2大会、特に2015年第8回大会での変貌ぶりがすさまじくて、それまで緩くRWCだけでジャパンの試合を見ていた僕は南アフリカ戦の結果を知って頭に何個「?」を浮かべたかわかりません。(時差で明け方の試合、起床後に結果を知った記憶)

 スポーツはいつ、どんな結果が起こるのかわからない。それがたまらなく僕らを惹きつけます。
 2022サッカーW杯のドイツ戦、スペイン戦しかり。

 今大会の最大の相手はイングランドです。競技の母国を相手に、どう戦うのか。そして、なにが起こるのか。

 国のプライドをかけた戦いは心を打ちますし、競技の魅力を伝えます。

 ワールドカップきっかけでラグビーに興味を持ってくれる人が少しでも増えますように。
 そんな願いを込めて、このシリーズを続けていければと思います。

 では、また次回。テーマ未定なんですが頑張ってひねり出します。

(コメント欄で「これについて書いて」ってあれば検討しますんでネタくださいお願いします)